牛鬼(うしおに)

妖怪独話

「無職時代は主に人間を襲って食べてましたネー」
「ネー」
今日の妖怪就職インタビューは宇和島の牛鬼兄妹。
手のつけられない暴れっぷりが評価され今では神社の守り神です。
「突き抜けてのワルだったから、そこが買われたんだと思うネー」
「ネー」
ハンパない気持ちが就活の決め手とはご立派です。
まさに、暴走族上がりのヤンキーが現実社会で成功するパターン!
お忙しい中インタビュー、ありがとうございました。
「さよならネー」
「ネー」

妖怪解説

妖怪界の中でもトップクラスの残忍凶悪妖怪、牛鬼。

佐脇嵩之『百怪図巻』の「うし鬼」wikipediaより

牛と鬼や昆虫のキメラという不気味なフォルム。
出会っただけで病に冒され、大好物は人肉といった危険度MAXな存在だ。
西日本にて多くの伝承があり、知名度も抜群、妖怪エリートと言っても過言ではない。

そんな悪の代名詞的妖怪「牛鬼」、愛媛県宇和島市で面白い扱いを受けている。
和霊神社での夏祭り「和霊大祭」にて、牛鬼の山車が練り歩くというのだ。
首がひょろっと長く、まるでアルパカのようなユーモラスな牛鬼。

なぜ牛鬼が山車となったのだろうか?

和霊神社は、宇和島藩の派閥争いに破れ、暗殺された山家公頼の祟を鎮めるために建てられた。その事件は「和霊騒動」といわれ、一家もろとも惨殺されるというひどいものであった。
その後、政敵の変死、天変地異が宇和島を襲ったため、これはまずいと思い建立にいたるという。

うわじま牛鬼まつりの牛鬼山車 宇和島市観光ガイドより

さて、その祟を鎮めるべく抜擢されたのが牛鬼なのだ。
最初に述べたように、牛鬼は妖怪の中でも最凶の類として、広まっていた。
その強さゆえ、神格された伝承もあるほどだ。
それならその力で、公頼の祟を抑えられるのではないか?という願望が当時の人々にあったのだろう。
和霊大祭の華として、牛鬼は宇和島の人々に迎えられたのであった。

その目論見は成功したようで、和霊大祭・うわじま牛鬼まつりでは祟を忘れ、祭りに興じる人々の笑顔にあふれている。
力を力で返す、それもまた状況解決の一つなのである。

展示告知

2018年5月17日より、阿佐ヶ谷アニメストリート内にある大怪店にて、「牛鬼」のシャドーボックスと絵はがき、グッズを展示、販売します。
ぜひ遊びに来てください!

●企画名:牛鬼展
●日程:2018年5月17日(木)〜5月27日(日)
●定休日:5月22日(火)、23日(水)
●時間:12時〜19時
●場所:大怪店
〒166-0004 東京都杉並区阿佐谷南2-40-1
阿佐ヶ谷アニメストリート内
050-5309-2219

牛鬼展HP goo.gl/4Z6cri

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